水木沢よもやま話

更新日:2023年01月27日

根上がりの木

森の中には根元に大きな穴の開いたサワラやヒノキがあります。
このような木の形を「根上がりの木」と呼びます。
ではなぜこうなったのでしょうか?
親木から大量に散布される種子のなかで運良く
発芽して大木に成長することのできるものは極わずかです。
倒木や切り株などは種子にとっては、 土壌の腐朽菌が少なく、
また高い分だけ光を受け易いので良い発芽床となります。
こうして倒木や切り株の上で芽生えた樹は年月とともに大きくなり、
元の倒木や切り株は朽ち果ててその姿を消してしまうと、このような形になるのです。
長い間に成長してきた木もやがて
寿命がきて倒れてしまいます。
その木の上に種が落ちて、
そこで発芽した様子。
倒れた木の上で芽を出した木は倒れて
腐った木から養分を吸って
だんだん大きくなってゆきます。
長い間に倒れた木はやがて腐ってなくなりますが、
木の上で成長した木はそのまま根を張って
大きくなるので根上がりになるのです。

 

幹のうろ=樹洞

大木の幹に穴の開いたきがたくさんあります。
キツツキがあけたものや、枝が折れて腐朽菌が入ってあいたものなど
その成り立ちや大きさもさまざまです。 小さめの穴は小鳥が繁殖に利用し、
少し大きいものは、モモンガやフクロウなどが棲みつき 、
大きいものはツキノワグマが冬眠に使っているかもしれません。
樹洞は若い森には少なく、成熟した森林の特徴のひとつです。
水木沢で多くの生命が育まれている理由がここにもあります。

きのこの役割

秋になると森林にはたくさんのキノコが発生します。
美味しいキノコもありますが、命を奪う猛毒のキノコもありますから、
わからないキノコは絶対に食べないでください。
種類がたくさんあって見分けるのが難しいのがキノコです。
しかし森林の中でキノコの菌は古い樹木を腐らせて土に返したり、
あるいは木の生長を助けたり、重要な役割を果たしています。

ツルの不思議

水木沢にはツルアジサイ・イワガラミ・サルナシ・ツタウルシなどの
つる性の植物が樹木に巻きついています。樹木は光合成をするために太陽の光を求めて、
幹を太くし、葉を上へ上へと広げていくのです。しかしつるは とても要領が良く、
他の植物をよじ登ってより高いところで葉を広げるのです。
なかには10メートル以上の高さにまで登るものもあります。
どうやってそんなに高くよじ登るのでしょうか?
つる性の植物は巻きつくだけではありません。
ツルアジサイやイワガラミなどは、樹皮に細かな根を張って登っていきます。

タネの散布

根を張って動くことができない植物ですが、
生涯で2回だけ移動する機会があります。
1回は花粉を昆虫や風によって散布し、
遺伝子を遠くへ広げています。あとの1回はタネの散布です。
タネは虫などの動物によって運ばれるもの、風に乗って遠くまで飛んでいくもの、
あるいは自分で跳ねて移動するものなど、種類によってその方法はさまざまです。

大サワラ

原始の森を登ると、歩道の横にひときわ大きなサワラがあります。
太さから見て 樹齢550年ほどと推定されています。
下から見上げてみると、幹が途中から三っつに分かれています。
きっと材としては不適格であったため、今日まで伐採を免れてきたのではないでしょうか。
そしてこの大サワラの同じように幹の分かれたサワラがこの周りには育っています。
2本の木が成長の過程でくっついてしまったものを「合体木」というのですが、
周りがみんな幹別れしているので、ここは森林の遺伝的特徴であろうと推測されています。

森林にとっての倒木

幹からサルノコシカケの仲間が出ているブナの木がよくあります。
まだまだ元気そうに見えるブナの木も、
幹の中はきのこの菌に侵されて相当腐朽がすすんでいることでしょう。
こうして樹齢400年といわれるブナの樹もやがて枯れるか倒れるかして、寿命を迎えるのです。
大木が倒れると樹冠(葉の茂っている部分)に大きな穴が開き、
森の地面まで太陽の光が届くようになります。
そうするとそれまで日陰でなんとか生きていた小さな木などの成長が旺盛になり、
樹木が世代交代することになります。

ブナの豊作・不作

栗や柿などの多くの樹木は毎年同じ数の実をつけるのではなく、
豊作と不作を繰り返します。
光合成で作り出したわずかな栄養分を毎年実にまわしていると、
木も疲れてしまいます。
豊作の翌年は木も種の数を減らして休むのです。
タネや実の増減はそれを食料として生きている動物や小鳥、昆虫などの
生息数を適正にコントロールする上でも大切な役割を果たしていると考えられています。

広葉樹が紅葉するわけ

水木沢は例年10月中旬が紅葉の盛りで、11月初めには散り始めます。
葉は枝と葉柄でつながっています。
気温が低くなると水やデンプンのやり取りが少なくなり、
暖かい日中の光合成で作られたブドウ糖が葉に蓄積され、
アントシアニンという物質に変化して赤く色づくのです。
また、葉を緑色にしていた葉緑素が分解して、黄色のカロチノイドが見え始めることから、
黄葉すると考えられています。

コシアブラの貧弱な黄葉

山菜として、最近人気急上昇中のコシアブラは、
秋になると薄く黄葉して、白く透けたような感じになって目立たない存在です
。コシアブラに限りませんが、
葉に残っているチッソやリン酸を其のまま黄葉したのではもったいないので、
幹の再吸収し、翌春の芽吹きのために残しておくといわれています。

クマザサの穴

この穴は 何でしょう?もちろん人間があけたものではありません。
昆虫のホソハマキモドキの仕業です。それにしてもきれいにあけてありますが、
どうやってあけたのでしょうか?よく見ると左のほうが小さく右のほうが大きくなっています。
実は笹の葉は開く前はクルクルと巻かれていて1本の棒のようになっています。
「その中に産み付けられてあった卵がかえって食い破って外に出てきた」という説と、
「卵管を差し込んだ跡が、葉が開くにつれて大きくなる」という説があります。
水木沢にはクマザサがたくさんあります。このような葉を捜してみるのも面白いかもしれません。

 

この記事へのお問い合わせ先

木祖村役場 産業振興課 商工観光係

電話番号:0264-36-2001

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